男性外来
男性不妊症、性感染症、性機能障害(勃起不全や射精障害)は、最もプライベートな患者さんの「悩み」ではないでしょうか?
しかし、それらは大切な相手がいるからこそ生まれるものです。そして、大切な相手がいるからこそ、その「悩み」はさらに深い「悩み」になるのではないでしょうか?どうぞお気軽にご相談ください。
私は、そのような深い悩みを持つ患者さんに少しでもお力になれるよう、診療および研究を続けて参りました。
これら疾患の能登地域における認識は低く、受診される方もまだまだ少ない状況です。いずれも男女ともに診療を開始し、お互いの理解を得ることが必要です。皆様がそれら「悩み」から解放されますよう、専門外来を立ち上げました。
泌尿器科 加藤佑樹
診療の流れ
①予約:初めて受診される方はDブロック(0767-52-8705)で「泌尿器科で男性外来の予約希望」と伝えてください。電話窓口担当者が対応します。
②来院:紹介状や他院でのデータがあればあらかじめ提出をお願いします。
③問診:現在の症状、治療に対してのご希望などをお伺いします。あらかじめ問診票にご記入いただき持参していただいていれば診察がスムーズに行えます。
④診察・検査:陰部の診察、尿検査、うがい液検査、精液検査、採血、超音波検査を必要に応じて行います。
⑤治療計画の立案:病状および検査結果に応じて治療方針をお伝えします。検査結果が当日に出ない場合、再診時にお伝えします。
⑥治療:治療を開始します。手術が必要な場合、日程等につきご相談させていただきます。
診察日時
毎月 第2・第4金曜日 13:00~16:00
検査について
尿検査
性感染症は、尿道、亀頭、唇および咽頭に性行為時に細菌やウィルスが接触することで感染します。その中でも男性は尿道に感染し炎症がおこる「尿道炎」が最も多いです。そのため、性感染症が疑われる方は尿を回収し、その中の細菌を同定する検査を行います。
うがい液検査
性行為の多角化により、尿道だけでなく、咽頭(のど)に細菌が感染している方が多くいます。(尿道炎の患者さんの30%が咽頭にも感染していると報告されています)。しかも、咽頭への感染は症状が出ないことが多いです。うがい液を回収することで、のどに感染している細菌を同定します。のどの感染もしっかり調べて、パートナーにうつしてしまうことのないようにしましょう。
精液検査
不妊症(妊活していても1年以上妊娠しない)カップルの男性に対して必要な検査です。2~3日の禁欲期間をおいてから院内で採取後、検査します。自宅からの精液持参でも検査できますが、採精してから分単位で精子の運動率が低下してしまいます。精液検査所見によって下記のように分類されます。
・精子濃度ゼロ:無精子症
・精子濃度低下:乏精子症
・精子運動率低下:精子無力症
・精子奇形率高値:奇形精子症
採血
主にホルモン値のチェックをおこないます。ホルモン値の低値が性機能障害や精子減少症の原因となっていることもあります。高度乏精子症や無精子症のように遺伝的学的異常の関与が疑われる場合、遺伝学的検査を行うことがあります。
超音波検査
陰嚢内を超音波で調べます。男性不妊症の方は一般の方と比べて精巣腫瘍の発生率が高いことが知られております。また、陰嚢内に精巣を認めない(停留精巣)や精巣血管の拡張・逆流(精索静脈瘤)の診断の補助になります。
遺伝学的検査
・染色体核型検査
染色体とは遺伝情報であるDNAが凝集したものです。遺伝情報を本に例えるとDNAは文章そのもので、染色体は本の章に例えることができます。父親と母親からそれぞれ1冊ずつもらっていますが、ぱらぱらとめくっただけでわかるような落丁や乱丁がないかを調べるのが染色体核型検査です。この検査は保険診療で行うことが可能です。採血検査となります。
・Y染色体微小欠失検査
Y染色体は父親から受け継ぐ小さな染色体で男性しか持っていません。この染色体には精子を作るために非常に重要な遺伝子が含まれており、その中でも特に重要な部分(AZF領域)が抜けてしまうと正常に精子を作ることが出来なくなってしまいます。この変化は前述の染色体核型検査ではわからないため、特別な検査が必要になります。この検査は無精子症の方のみが保険診療適応となっております。